イオンファンタジーのエデュテイメント
インタビュー
2020.07.31 UP
2020年4月、イオンファンタジーは新業態となる子ども運動クラブ「キッズアスレチッククラブ ビヨヨンド」をイオンモール鹿児島にオープンしました。モーリーファンタジーに隣接する明るいスペースで、元気にからだを動かすお子さまの姿が見られます。
アミューズメントが主軸の企業がなぜ運動教室に? と不思議に思われる方もいるかもしれません。イオンファンタジーがなぜ子どもの運動教室に挑戦するのか、ビヨヨンドの立上げを行った経営戦略マネジャーの北村志保にインタビューを行いました。
基礎運動のスキルが楽しく身につく子どものための「あそんでまなべる運動教室」。対象は小学生以下の子どもで、2歳以下の幼児と保護者が親子で参加するU2親子クラスから、小学3・4年生の子どもたちが対象のU10クラスまで、週1回レッスンを受けられる。 2020年3月にリニューアルオープンしたイオンモール鹿児島の3階、モーリーファンタジーに併設されたプレイグラウンド・スキッズガーデンのスペースを活用して運営されている。
ビヨヨンド全景 イメージ図
ビヨヨンドは、あらゆる運動のベースとなる基礎運動のスキルを、子どもたちが楽しみながら身につけられる子ども運動教室です。
ビヨヨンドのクラスでは、すべてのプログラムを反発力のあるオリジナルエアマットの上で行います。高反発のオリジナルエアマットの上で運動することにより、お子さまのからだの安全を守りながらマットの反発力を活かしてより高い跳躍や自由な動きが可能になるので、楽しく目標の動作ができるようになります。
対象は小学生以下の子どもで、コアの対象は3~8歳です。
当社としては未開拓の分野への初挑戦にあたって、経験と知見が豊かなパートナーを招いて協力体制を構築しました。ビヨヨンドの業務の一部は、運動教室の運営や指導者の育成に実績のある株式会社ボディアシストに委託しており、「一般社団法人 子ども運動指導技能協会CATEA」が提唱する指導方法を身につけた講師が指導にあたっています。
レッスンは週1~2回で、スキッズガーデンの一部の区画を活用して実施しています。
ビヨヨンドの会員になったお客さまは、アプリ「モーリーフレンズ」で会員限定クーポンを受け取ることで、平日にモーリーファンタジーで様々なゲーム機が遊び放題になるビヨヨンド専用オリジナル「あそび放題パス」や、プレイグラウンド・スキッズガーデンの入場1回無料などの特典が受けられます(※注1)。
この運動教室のアイデアは、もともとはイオンファンタジー中国で代表を務めていたころの藤原(現・イオンファンタジー代表取締役社長)が温めていたものです。当社が既に施設を展開している中国・アセアン各国への展開を見すえて、まずは日本で開発を始めました。
同時に、会社としては「子どもと家族の笑顔のために、世界中に楽しい『あそび×まなび』を届けるオンリーワンのエデュテイメント企業」を目指すという新ビジョンを打ち出そうとしていたタイミングでもあり、子どもたちが単に遊ぶだけではなく、子育て家族の毎日に寄り添える施設をつくりたいという考えがありました。
「まなび」の分野において、当社はかなりの後発参入であり、たとえ運動教室として良いものを作れたとしても、先行している他社との差別化に大きな課題がありました。
そこで、ビヨヨンドは会員特典として、平日にゲームで遊べるモーリーファンタジーや、室内遊具が充実したスキッズガーデンを利用できるようにしました(※注1)。
単なる運動教室を開発するのではなく、一緒に既存アセットを利用できるサービスとすることで、「頑張ってレッスンを終えたあとは、モーリーファンタジーで遊べる」「今日はレッスンの日じゃないけど、会員特典でスキッズガーデンで遊べるから買い物も合わせてイオンに行こう」といった、会員さまのモチベーションになる価値を提供できると考えたのです。
3~8歳を中心とするお子さま向けの「まなび」において、こういった当社の長年の強みである「あそび」の要素を投入できるということは、他社への圧倒的な差別化になります。ビヨヨンドは運動教室ですが、将来的に当社が運動以外の「まなび」に取り組む際にも共通して活用できるスキームができたと感じています。
ビヨヨンドの出店前に、当社の既存施設でテストイベントを行いました。テストで色々なデータは取れたものの、やはりまずは一店舗チャレンジしなければ始まりません。しかし初めて挑戦する業態ということで、なかなか条件に合う物件が見つかりませんでした。
そんな折、当社がモーリーファンタジー鹿児島店を出店しているイオンモール鹿児島(鹿児島県鹿児島市)で全館リニューアルの計画があり、同じイオングループでファミリー向けのアミューズメントを提供する当社にも、リニューアルのテーマである「子どもの聖地」に合わせた目玉となる施設を提供できないかと声をかけられました。
社内の関係部署と連携して全館リニューアルに合わせた新店開店のプレゼンテーションを行った結果、ビヨヨンドのためにより広いスペースを確保できるなど、好条件を勝ち取ることができました。
ビヨヨンドでは、イオンファンタジーと運動教室事業を行っている株式会社ボディアシストとで作成したプログラムに沿って、「一般社団法人 子ども運動指導技能協会CATEA」が提唱する運動指導方法により育成された指導員が子どもたちを指導しています。
2~10歳の年齢は、野球やサッカーといった各種スポーツの手前の「走る」「跳ぶ」「投げる」「つかむ」「タイミングを合わせる」といった、基礎的な運動能力が急激に発達する時期と言われています。基礎運動をしっかり行うことで、その応用であるサッカーや野球などのスポーツ競技も上達していくのですが、基礎運動は一般的にはあまり面白いものではなく、退屈です。従って他社の運動教室では、基礎運動よりも、跳び箱などの種目の直接的な練習に時間を割くところが多い傾向にあります。それに対し、ビヨヨンドは基礎運動にゲーミング要素を入れて、50分のレッスンのうち約半分の時間を割いてしっかりと全身を伸ばし、基礎的な動作を繰り返し練習するプログラム構成です。ゲーミング要素により子どもたちは夢中になって運動し、レッスンが終わるころには汗だくになります。
また、前述の会員特典によって、他の運動施設では真似できない「運動をがんばることで遊べる楽しみ」も提供しています。
2020年4月にオープンした直後、コロナ禍により休業を余儀なくされました(※注2)が、そのような時期にも関わらず大変熱意をもって問い合わせくださったお客さまが複数いらっしゃり、感染症対策を行って再開した直後、すぐ入会してくださいました。再開した翌月は100組以上のご家庭がご来場され、ビヨヨンドをご見学いただいています。
実際に会員になったお客さまからは、「子どもが今まで飛べなかった跳び箱の段が飛べるようになって喜んでいる」など、嬉しい声をいただいています。
運動プログラム自体だけでなく、あそび放題になる特典にもご満足いただいており、ほぼ全ての会員さまに会員特典をご利用いただいています。
スキッズガーデンで遊んだ子どもたちが退場してそのままビヨヨンドの見学に向かう姿も見られ、まず「あそび」に密接した運動教室としてのビヨヨンドはニーズに合っていたと確信が持てました。
鹿児島でテストマーケティングを行い、教室を事業的に成立させると同時に、既存施設の価値をこれまでと違う形で提供することで、当社の新しい価値の創出につなげたいと考えています。
所在地: 鹿児島県鹿児島市東開町7 イオンモール鹿児島3階 モーリーファンタジー内
※注1: | 2020年6月現在、ビヨヨンドの会員特典は①モーリーファンタジーで平日一日一回体感ゲーム・のりものが30分間あそび放題になるパスを発行+メダルゲームのメダル100枚②スキッズガーデン平日一日一回最大2時間半無料の2種類のあそび放題となっています。 |
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※注2: | 2020年5月15日から感染症対策を行いながら再開しております。 |
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