あそびまなび!?

    イオンファンタジーのエデュテイメント

    謎解きを通して「考えることは楽しい!」を伝えていきたいー松丸亮吾さんインタビュー

    RIDDLER株式会社 代表取締役 松丸亮吾さん

    インタビュー

    2020.10.07 UP

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    株式会社イオンファンタジーは、新しいチャレンジとしてショッピングモール周遊型謎解きイベント 「ヒラメキ探偵リョウのナゾトキ事件簿」を2020年9月から10月12日まで開催します(※)。
    イオンファンタジーはこれまで「モーリーファンタジー」をはじめ、アミューズメント施設やインドアプレイグラウンドを日本とアセアン諸国で運営し、世界中のお子さまとそのご家族に笑顔をお届けしてきました。
    コロナ禍でお子さまやご家族の遊びや学びの環境が一変する中、「あそびや学びが制限されることが多い With コロナ時代にも、楽しみながら学べるエデュテイメントコンテンツを世にお届けしたい」と始まったこのイベント。
    「ヒラメキ探偵リョウのナゾトキ事件簿」の企画・制作を行った東大発の謎解きクリエイター集団RIDDLER株式会社の松丸亮吾さんに、イオンファンタジーがインタビューしました。

    松丸亮吾(まつまるりょうご)さん

    東京大学に入学後、謎解き制作サークルの代表をつとめ、様々な分野で一大ブームを巻き起こしている”謎解き”の仕掛け人。監修の書籍『東大ナゾトレ』シリーズは累計140万部以上に。現在は、「考えることの楽しさを全ての人に伝える」を目標に東大発の謎解きクリエイター集団RIDDLER(株)を立ち上げ、仲間とともに様々なメディアに謎解きを仕掛けている。YouTubeチャンネル『松丸亮吾のひらめきラボ』開設。『今夜はナゾトレ』(フジテレビ系)『おはスタ』(テレビ東京系)レギュラー出演中。近著に書籍『東大松丸式ナゾトキスクール』(小学館)。

    松丸亮吾さんインタビュー

    謎解きブームの仕掛け人として、放送や教育、書籍などさまざまな分野で活躍している松丸亮吾さん。謎解きは、これからの時代に必要な「考える力」を伸ばすのに良いトレーニングになると言います。「考えることは楽しい」と思ったきっかけや、多岐にわたる活動の裏にある思いについて、お話しいただきました。

    ※文中のイベント情報はプレスリリース時の情報です。会場によっては実施が終了している場合がございます。詳細はプレスリリースをご覧ください。

    「勉強は楽しくない」という思い込みを、謎解きが壊してくれた

    松丸さんは最新書籍『東大松丸式ナゾトキスクール』(小学館)で、考えることが楽しくなれば、無敵になれる」とおっしゃっていますね。ご自身が「考えることは楽しい」と思うようになったきっかけは何ですか?

    実は、小学校低学年の頃は勉強があまり好きではありませんでした。学校で習う国語・算数・理科・社会などの教科では、最初のうちは詰め込みが多く、先生に教わったことを忠実に繰り返し、自発的に頭を使うことは多くありません。ドリルで似たような問題を延々と解き、九九を暗唱しながら「これは何の役に立つのだろう?」と疑問に感じ、勉強にも身が入りませんでした。

    謎解きに出会ったのは小学校3年生の時。解き方を教わったわけではないのに、これまでのちょっとした経験とつながって「わかった!ひらめいた!」となったんです。

    それが初めて自分の頭で考えたという感覚を味わった瞬間で、「考えるのは楽しいな」と気づいたきっかけでした。

    謎解きに必要なのは特別な知識ではなく、ひらめき。知識を持っている人が早く謎が解けるのかというと、そうではない。ある教養バラエティやクイズ番組に多数出演されている方も言っていたことですが、「僕は知識をいろいろ獲得してきたけど、謎解きは難しくて解けないこともある。謎解きに必要な『ひっぱりだす力』は『蓄積する力』とは違う頭を使うから、知識や経験の多さとは関係ないと思う」と。

    僕の著作『東大松丸式ナゾトキスクール』にも、小学校低学年の子どもが解ける問題しか入っていませんが、大人が解いても苦戦しますから、知識の差ではないことを証明していますよね。このことに気づくまでは「詰め込み型の勉強=考えること」と思い込んでいたので、考えることは楽しくないと感じていたのですが、その経験から勉強は考える礎をつくっているのかもしれないという気づきにつながり、「もう少し勉強も頑張ってみよう」と思えるようになりました。謎解きは、僕を「考えることは楽しい」へと導いてくれた存在でした。

    楽しさを知ると、積極的にどんどん考えるようになりますね。

    そうなんです。勉強は知識のインプットが必要で、それを疎かにすると、できるようにはならない。「できない→楽しくない→やらない→できない」という負のスパイラルに入ってしまう子どもは、「勉強は楽しくない」となってしまいます。

    親目線でよくやってしまいがちなのが、このスパイラルの中で「やらない」というところに注目して「勉強しなさい、やらないと将来困るよ」と投げかけてしまうこと。僕は、「やらない」というところよりも「楽しくない」というところにアプローチしたいと思っています。「勉強は楽しくない」という思い込みを壊すのが、謎解きなんです。謎解きで「考えることは楽しいかも」となると、勉強もやってみようとなる。「楽しくなってきた→もっとやってみよう→成績が上がってきた→どんどん楽しくなる」という良いスパイラルが回っていきます。

    「SPECC(スペック)」は得意なことがわかり、未来をイメージできる

    松丸さんが代表を務める謎解き制作会社・RIDDLERでは、考える力を5つの力に分類する「SPECC」を提唱しています。どのような理由でSPECCをつくられたのですか?

    勉強に関して僕が疑問視しているのが、点数で順位づけされ、一律に評価されてしまうこと。点数だけでその人の価値は測れません。なぜ「SPECC」という新しい概念をつくったかと言うと、これまでの評価とは違う指標ができたらいいなと思ったからです。

    何でも人並みにできる人よりも、国語は不得意だけど、算数はずば抜けているなど、突出した個性を持ち、自分の得意をちゃんとわかっている人の方が、将来的に強いと思います。また、ひと口に算数と言っても、図形的な能力や論理的な能力など、さまざまな要素を含んでいるわけです。

    将来、壁や問題にぶち当たった時に必要なのは、問題解決へと導く「考える力」。そこで思考力を細分化し、分類すると5つにまとまり、それがSPECCとなりました。

    SPECCの5つの力
    ・多角的思考力「スイッチ(Switch)」
    ・論理的思考力「プログラム(Program)」
    ・試行錯誤力「エナジー(Energy)」
    ・会話力「コミュニケート(Communicate)」
    ・発想力「クリエイト(Create)」

    学校の勉強は将来に直結しているように感じづらいですが、SPECCは「この力が伸びるとこんな分野に役立つ」と明確に言え、「将来の見える化」ができる。たとえば「クリエイト」だったらアイデア重視の職業、「エナジー」であれば一つのことに粘り強く取り組む研究職やスポーツ選手に向いているでしょう。

    僕はひらめきが強いので、「クリエイト」や「スイッチ」が得意で、エナジーは低いかも(笑)。

    自分のSPECCの診断と向き合い、「自分はこの分野が得意なのか」「僕はこの力を高めていきたい」と考えられるので、希望のある評価だと思います。

    楽しいと思えると、学びは何倍にも膨れ上がる

    考える力が身につくコンテンツとして、謎解き以外にはどのようなものがありますか?

    僕も小さい頃からやっていますが、ボードゲームやカードゲーム、あとはRPGゲームもおすすめです。特にストーリーの凝っているRPGは国語の勉強になります。でも、「ゲームは子どもにとってよくない」「本を読むのはいいことだ」という偏見がいまだにありますよね。最近は「エデュテイメント」や「ゲーミフィケーション」という言葉もあるように、そろそろその偏見はなくなっていくべきではないでしょうか。

    日本中の駅名を覚える子がいるなど、子どもは好きなことをやらせると、大人顔負けの知識を身につけたりする。子どもが楽しい・好きだと思える方が、学びは何倍にも膨れ上がります。一方、「こうあるべきだ」と言う“べき論”になると、子どもが窮屈になってしまいます。

    お子さんがもしゲームに興味を持っているのだとしたら、それはチャンスだと思います。僕はポケモンカードが好きなのですが、ダメージ計算には足し算、引き算、掛け算が必要で、勉強になる要素も多い。先日は3歳でポケモンカードのダメージ計算をしている子に出会って驚きました。

    親御さんが気をつけてあげることは、そのゲームが学習的要素を含んでいるかどうかという判断です。例えば対戦ゲームでも、ただひたすらたくさん課金して勝とうとするだけでは学習になりませんが、相手に勝つための戦略を立てて工夫していくことは学習になります。

    子どもが謎解きに興味がなければ、ゲームでも何でもいい。子どもが本当に好きなものを汲み取ってあげることが大事だと思います。よく「音楽ならピアノ」「運動なら水泳」みたいに型にはめたがりますよね? 僕は母に「ピアノをやりなさい」と言われたけど、1ヶ月で辞めちゃいました。水泳も2ヶ月。でも、両親は「だったら別の好きなことでもいい」と柔軟な対応でしたし、ゲームをやっていても、頭ごなしにゲームがダメだとは言わず、むしろ「このゲーム教えて」と言ってくるタイプでした。「ゲームはよくない。目が悪くなる」と言う人がいますが、悪い面しか見てなく、多角的思考力「スイッチ」が欠けていると思います。なぜ子どもがそのゲームにハマるのかを考えてみる。一緒にやってみると、案外発見があるのではないでしょうか。

    これからの時代に求められるのは、0から1を生み出すひらめき

    松丸さんからは何事にも全力で楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきます。

    「楽しい」は一番大切なキーワードですね。勉強というと、いまだに机に座って教科書を開くというイメージがあり、タブレットを使うオンライン授業にも抵抗がある人もいるようです。

    でも、ゲーム感覚で楽しく学べるのなら、こんな夢のようなものはない。もっと自由に子どもに学ばせてあげられたらいいなと思います。勉強が楽しくなったら、あとは自主的にどんどん学んでくれるわけですから。

    僕は、何事もポジティブに楽しみたいと考えています。目の前の物事に対して粗探しや否定などネガティブな面から入る人は、自ら幸せから逃げている気がしますし、悪循環にもなります。 僕も謎解きがつくれないスランプの時期は、ネガティブな感情になったこともありました。でも、何事も自分から楽しむようにすると、良い面を発見しやすくなり、面白い発想やコンテンツを生み出せると気づいたんです。学びも同じだと思います。

    以前テレビで拝見した際、難しい問題を前に松丸さんの目がキラキラしていたのが印象的でした。

    小学校4年生から15年間、たくさんの問題をつくってきましたが、解けない問題がまだまだあるんです。知らないことがあるのは、すごく夢がある。だから難しい謎解きに出会うと、嬉しくなるんだと思います。

    これは謎解きとクイズの違いですが、クイズは調べれば答えが出てくる。たとえば「徳川十五代を全部言ってください」といった問題なら、インターネットで検索すればすぐにわかります。

    一方、謎解きの魅力は、検索しても答えが出てこないこと。謎解きには点と点をつなげるひらめきが必要なので、まだAIには解けないんです。 インターネットで誰でも知識を簡単に得られるようになったいま、これからの時代に求められるのは、知識だけではなく、0から1を生み出す発想力(ひらめき)です。それには自分の頭で試行錯誤しながら考える経験を積むことが必要で、こうすれば解けるという公式やパターンのない謎解きは、そのトレーニングに最適だと思います。

    これからお子さんたちに「考える楽しさ」を伝えていくために、どのようなことに取り組んでいきたいですか?

    一つの媒体だと対象が限られてしまうので、いろんなメディアを通して今まで届けられなかった子どもたちに「考えることは楽しい」というメッセージを伝えていきたいです。

    最近、YouTubeチャンネル「松丸亮吾のひらめきラボ」を開設しました。以前から算数のあり方をイチから変えたいという思いがあったので、オンライン上で僕が算数をゲームテイストにして教える「算数教室」もつくろうと計画中です。 僕らがつくった会社、RIDDLER(リドラ)は上級者向けの難しい問題をつくるのが目的ではなく、みんなでワイワイと楽しめる謎解きをつくって、「考えることが楽しいと思える人を最大人数にする」ことが目標。イオンファンタジーさんとはイベントの開催を予定していますし、ゲームやアニメーションも企画中なので、楽しみながらいろんなことに挑戦していきたいと思っています。

    ショッピングモール周遊型謎解き「ヒラメキ探偵リョウのナゾトキ事件簿」

    松丸亮吾氏率いる東大発の謎解きクリエイター集団RIDDLER(株)が企画・制作 考えることが楽しくなる!!ショッピングモール周遊型謎解き「ヒラメキ探偵リョウのナゾトキ事件簿」イオンモール6店舗で開催!

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