成長を育む施設『スキッズガーデン』主催のてぃ先生を迎えてのオンライン子育て座談会。前半(第1回)は食事や睡眠など生活にまつわるお話、家族との協力のお話でした。後半はより深く子どもの心理にスポットをあてていきます!
後半は兄弟姉妹をもつご家庭共通のお悩み。ここでは3家族の姉妹のケンカの話です。
りさママ(3歳・11ヶ月) 3歳のお姉ちゃんがおもちゃで遊んでいると、妹が触りに行ってグチャグチャにするので、お姉ちゃんは「触ったらダメ~!」と毎回怒ります。赤ちゃんにダメ!とか強く言ってほしくないのですが、お姉ちゃんの気持ちも妹の気持ちも分かるので、どうしたら良いのか……。
いっちゃんママ(5歳・1歳) こちらも姉妹です。下の子の我が強くて、上の子のモノをすぐ取るし、譲らなかったら力ずくで引っ張りながら叩いたり……。下の子は手が出ちゃうんです。注意しても目を離したらまた同じことをやります。上の子が優しいので、いつもやられっぱなしです。
あんちゃんママ(6歳・3歳・7ヶ月) 3歳の次女が6歳の長女のモノを全て欲しがり、頻繁にケンカになります。それぞれ自分の好きなおもちゃを選んで買っても、帰宅すると次女はやはり「おねえちゃんのがいい!」と大騒ぎして、自分の思い通りになるまで泣いてわめきます。基本的に介入しないのですが止めないといけない時は何を誰を優先したらいいのかわからず困っています。
てぃ先生 三人に共通しているのが、姉妹喧嘩ですね。お互いのモノを欲しがったりとか取り合ったりする時に、ネガティブに捉えると親も子も余裕がなくなってしまうのですが、見方を変えると同じ物が好きなだけなんですよ。だから取り合ってるわけじゃなくて、同じ物に対して興味を持ち、同じ物が好きということを子ども自身が理解すると、ゆとりが生まれます。姉妹で同じ物が好きなんだねという状態を子どもが認識した方がいいんですよ。
僕は保育園でよくやるんですけど、何かを取り合ってる時に、「取り合ったらダメ!」とか「取っちゃダメでしょ!」ではなく、モノに関して使える魔法の言葉があるので、それを是非試して欲しいです。僕は唯一魔法と言っていいと思える言葉がけです。「○○くんと一緒で○○ちゃんもこのオモチャが大好きなんだね!」、「二人同じじゃん!」、「同じ物大好きなんだね仲良しなんだね」というポジティブな言葉かけです。そうすると子どもとしては、いがみ合っていると思い込んでたけど、違うじゃん、僕たち私たち同じ物が好きで同じ物で遊びたいだけなんじゃん、と、まずその状況をポジティブに捉えやすくなります。
上の子が、下の子のやりたいこととか下の子が言いたいことなどを汲み取るのは難しいですよね。特に上の子はまだ3歳5歳6歳。ある程度大人が言ってることもわかるし理解もできると思うんですけど、それぞれ11カ月、1歳、7カ月が言いたいことを全て理解するのは、3歳5歳6歳には無理ですよ。なので、どんな育児書にも書いてあることですが、まずは共感すること。そして代弁。基本的にはこの繰り返ししか解決方法はないと言えます。
下の子にとってみれば、言葉でお兄ちゃんお姉ちゃんに「自分が、それ使いたい」とか「こういう風にしたい」の思いを言えないから、押したりとか叩いたりとか噛んだりとかするわけですが、一方で、上の子からしてみれば、勝手に噛んできたり、押してきたり、自分が一生懸命作った物を壊されたりとか、悲しい思いがありますよね。お互いのやりたいこととかお互いの言いたいことを、誰が伝えられるかというと、そこにいる大人にしかできないんですよね。だから、どういい聞かせよう、どうこの場を解決しようではなく、上の子に対して「下の子はこういうことがしたいみたいだよ」「お姉ちゃんがこういう風に遊んでるのがすごい楽しそうでちょっと触っちゃったんだ」と代弁してあげる。お互いの主義主張を大人が言葉にしていく。
そして「でも触られるのが嫌だったよね」と、お兄ちゃんお姉ちゃんのことをちゃんとフォローしてあげる。下の子に対しては、「お姉ちゃんが楽しく遊んでいたから自分もやりたいんだよね。でも、今、お姉ちゃんが使ってるから、ちょっと待とうね」とか。そういった共感と代弁が必要です。本当にそこは、毎日の積み重ねしかなくて、これをそれなしでクリアしようと思っても、半年経っても1年経っても状況は変わらないんですよ。こういう時に、自分はこう思ってるんだ、で、それをちゃんと親が理解してくれてるんだと、積み重ねでしか得られないんですよね。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、半年、毎日その状況をちゃんと言葉にして、「そうだよね、あなたの気持ち解るよ」とお互いのことをちゃんと共感して代弁していく。
面倒くさいと思うかもしれないですけど(笑)。それを毎日積み重ねた結果、子どもは相手の気持ちを考える力、察する力が身についたり、こういう時はこうやって言おうなどの語彙力の向上にも繋がるので、そこは諦めずに毎日やっていくことが大事になってきます。
てぃ先生 あと、これは僕も結構使うのですが、「そのおもちゃを下の子に貸してあげて」と言われても、中々子どもは貸せないので「そのおもちゃをママと下の子に貸して」と言ってみるんです。下の子に貸すんじゃなくて、ママと下の子がセットみたいに。下の子に貸すと返ってこないだろうから貸したくないけど、ママと下の子に貸すんだったら、ママが保証してくれそうだな、言わばママが連帯保証人になってる状態ですね(笑)、それで安心感に繋がるんじゃないですか。是非、おもちゃの貸し借りであっても連帯保証人制度を使うことはかなりうまく行きますので僕はオススメします!こちらもやってみてください。
――連帯保証人の話は、皆さんうんうんとかなりリアクションされています!
てぃ先生 下の子が小さいと、どうしても上の子に対して「下の子は分からないからしょうがないでしょ」「それは上の子がわかってあげてよ」という場面があると思うのですが……。でもよくよく考えてみたら、あんちゃんさんのところでも上の子でもまだ6年間しか生きてないし、りささんの所で言うとまだ3年間しか生きてないし、いっちゃんさんの所で言えばまだ5年間しか生きてない小さいお子さん達です。
下の子達と比べると大きく見えるかもしれませんけど、「崩されちゃったとしたら悲しいよね」とか、「バーンと押されたらやだよね」「ママもわかるよ。それは下の子もよくない、ママからパパからちゃんとお話しするね」と言ってあげてください。たとえ下のお子さんが7ヶ月だとしても「お姉ちゃん嫌だって言ってたよやめてあげてね」と、下の子に対してでも上の子の前で毅然とした態度で「ダメなものはダメ」と言ってあげる。
上の子からしてみたら「下の子がバーンってやってもしょうがないよね、ちっちゃくてわからないんだからしょうがないよね」と言われても納得もできないし、それが毎日になってくると余計イライラしてしまいます。お兄ちゃんお姉ちゃんの目の前で、下の子に対してある程度ちゃんと叱ってあげるというのは「ちゃんとママわかってくれてるんだ」「パパはわかってくれてるんだ」という安心感に繋がりますので、そういう対応は必要かなと思います。
他にも色々あるのですが、例えばベビーサークルを使って簡易的に上の子の部屋を作ってあげる、のも一つの手です。下の子をベビーサークルに入れるのではなく、逆に上の子を入れて独立した空間じっくりと遊びたいおもちゃで遊びこませる。例えば積み木を一生懸命一人で積み上げたものを、それこそ7ヶ月とか11ヶ月とか1歳の子とかが面白半分にばーっと壊してしまうと、上の子はうわ〜!てなっちゃいますね。 そういうことが起きないために、逆に上の子がベビーサークルの中に入ってじっくり遊ぶという環境は作りやすいので、こちらもやってみてください。。
兄弟喧嘩の話は複雑なので、短い時間で答えるのは難しいのですが(笑)、どれか役に立てればいいかなと思います!
ありさママ(3歳・1歳) 3歳の男の子と1歳の女の子の育児中です。3歳の上の子が、トイレでうんちができなくて我慢してしまうのが悩みです。
初めてトイレでうんちに成功した時に固いうんちがでて、お尻が切れてしまったのがトラウマになってしまったようで、それ以来トイレでうんちができなくなってしまいました。いつもうんちをする時だけオムツに履き替えて過ごしています。何かいい対策はありますか?
てぃ先生
トラウマの克服は、あまりそれを意識させ過ぎないというのが、心のケアとして大事かなという風に思うんですね。
うんちをトイレでしてもらいたいと思うがあまり、親が気にしすぎたまま接したり言葉がけをすると、子ども側もそういうのって敏感に感じやすいので『フラッシュバック』しやすいし、意識しやすくなってしまいます。だから、一旦そのことはお互いに無かったことにしてみる、という意識は必要ですね。お父さんお母さんがその物事に対してさらっとした感じで受け止めてあげた方が、このケースに関してはいいんじゃないかな。
うんちをトイレでできないってお子さんって結構いらっしゃるんですよね。でも大事なのはとりあえずトイレに行くこと。今まではうんちしたおむつを替えるのをリビングでしてました、ってなると、子どもにとっての認識はうんち=リビングになってしまう。じゃあトイレに行っておむつ替えをしよう!っていう風にすれば、とりあえずうんちでもおしっこでもとにかくトイレにいくっていう習慣はつくじゃないですか。それがそのうちたまたま、「今日はうんちがまだちょっとしか出ていないみたいだから、お椅子に座ってやってみる?」「もうちょっと出るかもしれないからやってみる?」と運びやすくなりますよね。だって目の前に便器があるんだから、ちょっととりあえず座ってみようかなって気持ちも生まれやすくなるじゃないですか。ハードルとして低くなりますよね。
あとは、そのトラウマを塗り替えられる別な経験があるといいかな。例えばご褒美制度というのがありますよね、〇〇ができたらシールを貼るというような。それをうんちができたらシールを貼るのではなく、トイレにいったらシールを貼るとか、便器に座ったらシールを貼るとか、ハードルをメチャメチャ下げた状態でご褒美。3歳の子にとっては、もう便座に座ることができた、それで認めてもらえるっていう喜びを持てれば、嫌な思い出を塗り替えられるんじゃないかな?
ありさママ 実はそのご褒美制をやってみているんです。かれこれもう半年ぐらい。長い戦いです。
てぃ先生 そうですかぁ、 もしそういう状況が半年続いているのであれば、ご褒美をあげるハードルを少しずつ上げてもいいかな。 後はもう全く別の アプローチをしてみる。 先ほども話しましたが、思い込みの力を利用するとか。子ども用の便座はすでにあると思いますが、 例えばそれを新しくするとかシールを別のものに変えてみたり、環境や使っているものを変えてみる。「この便座に座るとうんち出やすくて痛くないんだって」「てぃ先生が言ってたんだけど、このステッパーに足を乗せてうんちをすると お尻痛くならないんだって」という、通販みたいですけど(笑)そういう思い込みを持たせてあげる。3歳ぐらいだと思い込みが強いから、「ほんとだ痛くない!」 となりやすいですよ。1000円、2000円ぐらいでお尻が切れちゃったトラウマを乗り越えられるんだったら安いもんじゃないですか(笑)。
ありさママ そうですね(笑)。
てぃ先生 保育園に行きたくない、いやだというお子さん達に、ママやパパが手の甲にアンパンマンを書いて「これがあるから大丈夫だよ」って言うと子どもが安心して喜んで幼稚園・保育園に行くことができたりするんですが、それと同じですね。「てぃ先生っていう人が言ってたんだけど、アンパンマンシールをここに貼るとお尻が痛くならずにうんちができるらしいよ。やってみる?」 という風に気分を変えるために言葉だけではなくてアイテムも一緒に活用してみるといいんじゃないかな。
ありさママ すごく参考になります!ありがとうございます!
――『親子がハッピーになる時間の過ごし方』というテーマを設定していた今回の座談会。ここで参加者の皆さまにエールを送ってくださいました!
てぃ先生 皆さんにとってはお子さんって、 下手したらパートナーよりも大事な存在かもしれないですし、 なんなら自分よりも大事な存在として日々大切に子育て・育児を頑張っていらっしゃるんじゃないかと思うんです。けれども、 僕からすれば皆さんが大事にされているお子さんも、一生懸命頑張っているママ達パパ達も僕にとってはどっちも大事な存在なんですよね。 日本の子育ての環境では、「なんだか子育てしていると余裕がないなぁ」とか、「自分自身の幸せって何なのかな」「自分の幸せは誰が願ってくれてるんだろう」とか自己犠牲の下に成立してしまうように感じることが多いですよね。 どうしてもその子どもの幸せの価値と比べて自分の幸せの価値が低く見えてしまったり。幸せどころか自分自身の価値が低く見えてしまったりする時もありますよね。
そうすると自分自身の心の余裕がなくなって、余計に子育てにイライラしたり、悩みがちになってしまうと思うのですが、是非お子さんのことを幸せにしたいって思うからこそ、ご自身のことも同じくらい大事にして欲しいなと思います。なんならお子さんよりもまず自分のことを大事にして欲しいですし、少なくとも僕自身は皆さんのことをお子さまと同じくらい大事に思っていますよ!
こういった直接お話できる機会はなかなかないかもしれませんが、また何か不安なことや大変なこととかがあれば是非インスタやYouTubeなどにコメントください。とりあえず目は全部通してますので!大変なこととか色々あるとは思うんですが、皆さまの子育てを応援しております。本日はありがとうございました!
――終始明るい雰囲気の中、最後はてぃ先生に励まされ、皆さま大満足&拍手喝采の中終了しました!どの方の質問も共感できるものばかりで、非常にためになるお話を山のように聞くことができた今回の座談会。子育て中の皆のことも大事ですとおっしゃってくださったてぃ先生の言葉は胸にジーンと響くものがありました。参加された方の中には涙される方もいらっしゃって、リモートで全国各地から参加してくださったパパ・ママ全員が、自分一人で子育てしてるのではないと心強く感じる機会になったようです。この記事を読んでいる皆さまの日々の子育てにも少しでもお役に立つことができれば光栄です。
――全国のスキッズガーデンでは、てぃ先生と同じ保育士の資格をもつスタッフや幼稚園教諭、専門の教育プログラムを受けたスタッフが常駐しております。0歳と保護者さまは無料、3歳からはお子さまだけでご入場できます。息抜きに子育てから解放される時間としてご利用いただくのもオススメしております。
子育てしている皆さまとお子さまがハッピーな時間を過ごせるよう、スタッフ一同全力でサポートいたします。是非遊びに来てくださいね!
・第1回記事はこちら(2022年12月26日公開)
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