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    失敗は次へのステップ。めげずに料理を楽しんで。ー料理研究家 石澤清美さんインタビュー

    料理研究家 石澤清美さん

    インタビュー

    2020.12.21 UP

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    家族が料理をしている姿やごっこ遊びからも幼少期に興味を持ちやすい料理。今回は、料理研究家の石澤清美さんに、ご自身が料理に興味をもったきっかけをはじめ、料理を通して身につく能力などについてインタビューしました。

    石澤清美(いしざわきよみ)さん

    料理研究家。料理書編集者を経て、30代の時に料理研究家の道へ。季節の食材を生かした家庭料理をはじめ、パンやお菓子、保存食などの幅広いジャンルのレシピを紹介し、多数の料理本を執筆・監修。近著に「下味冷凍スピードおかず」©主婦と生活社 。料理教室「KIYOMI's FOOD ATELIER」を主宰。国際中医師・国際中医薬膳師、米国Nutrition Therapy Institute(NTI)認定栄養コンサルタント、ハーバルセラピスト。

    自分からする料理には楽しいことがある

    石澤先生は子どもの頃から料理がお好きだったのでしょうか?また、料理研究家になられた経緯をお聞かせください。

    両親が共働きで、弟がいましたので、比較的子どもの頃からごはん作りのお手伝いをしていましたが、それほど好きではありませんでした。思い返してみると料理が好きになるきっかけは楽しいことをしたかったのだと思います。小学校5年生から調理実習がありますが、それがどうしても待てなくて、4年生の時に「調理実習がしたい」と先生に頼んだのです。包丁や火はまだ危ないので、「ケーキのデコレーションをしよう」と企画を立て、カステラに生クリームでデコレーションして、みんなで食べました。ただそれだけのことだったのですが、とても楽しい思い出です。ごはん作りのお手伝いはやらされている感があってそれほど好きではありませんでしたが、料理にはお手伝いと違う楽しさがあると実感しました。

    大人になって出版社で10年以上料理書や生活書の編集者として働きましたが、自分で手を動かす方が好きで、実際に作る方に興味が出てきたので、料理研究家の道を歩み始めました。

    料理研究家の仕事の中でレシピを作り上げていく上で大切にされていることはどんなことでしょうか?

    文字や写真、動画で伝えられる情報は多いようで意外と少ないので、みなさんに一番伝わりやすいよう、どのように伝えるか、また自分が納得する味になっているか何度も試作することが大切だと考えています。分量を秤で量ることもできますがやはり「103.5g」のレシピより「100g」の方が量りやすいですし、子ども向けなら「板チョコ1枚でつくれる」というように、誰もが作りやすいレシピにしたいなと思っています。それと同時に、一回たまたま成功してもそのレシピで他の方ができるとは限らないので、レシピの分量を調整しても自分が納得する美味しい味に仕上げることができるか試行錯誤の繰り返しです。

    子どもの年齢や興味に合わせてフォローを

    料理を通じて、どのような能力を身につけることができると考えられますか?

    料理は、最初に計画を立て、何がいるのかな、と考えて買い物に行き、道具をそろえて自分の手で作り、食べた後は片付けるという、生きていく上での基本がすべて学べると思います。しかも、料理は食べた後、自分の身体に返ってくるわけです。 また、文化や科学などさまざま面がありますから、料理を通じていろんなことを考えるきっかけにもなるでしょう。興味を持つ方向はそれぞれ違うと思いますから、それを広げてあげられたらいいですね。

    幼少期に経験するごっこ遊び。遊びから実際の料理へと導く良い方法はありますか?

    実際に遊びと同じことを料理でもさせてあげることが一番だと思います。最初から全部の工程はできないので、たとえばオムレツなら、フライパンではなく電子レンジで調理してみる、卵をほぐして味付けまでさせてあげるなど、料理の一部に関わらせてあげると、ごっこ遊びが現実につながってくると思います。ただ、親にとっても普段の料理に子どもをいれると負担になる部分もあるかもしれないので、子どもにやらせてあげる時はそういう時間だと思ってやらせてあげることも大事だと思います。

    年齢に合った段階的な料理の例があれば、教えていただけないでしょうか?

    以前、親子で巻き寿司を作るイベントを開催したのですが、こども達は盛り付けの時は生き生きとしていて、自分が盛り付けたものは一生懸命に食べるのです。私の子どもの頃の経験からもそういった楽しい面から入ると、好きになるきっかけになります。

    工程として最初は、「ちぎる」作業が入りやすいでしょう。レタスをちぎり、ツナをのせればサラダになります。子どもは料理に興味を持ち始めると、「切る」という行為をしたがりますが、その際は、キュウリのような切りやすい食材から入り、食材が転がらないように下を平らにするなど工夫しながら、切らせてあげてください。にんじんとかは硬いですし、玉ねぎは目が痛くなるので、始めは避けてあげるといいかもしれません。道具は大人の包丁だと重すぎるので、最初は100円ショップで買ったものでいいと思いますし、ある程度、成長に合わせて使い捨てていくことも必要かと思います。

    火を使うのであれば、まずは電子レンジを使ってみたり、焼ける過程が見れるホットプレートでホットケーキを焼いてみるなど、少しずつ料理の形になっていけばいいと思います。できることは年齢にもよりますし、得意なことも一人ひとり違うでしょうから、その子が楽しめるようにしてあげてください。

    ご両親の負担になる面もあるかもしれませんが、子どもの手をゆっくり引いてあげるといいかなと思います。お母さんとお父さんでも料理も違いますから、たとえば、お母さんとはお菓子づくり、お父さんとはお休みの日にバーベキューなど、一緒に楽しめる方法を見つけてほしいですね。

    2020年9月に10歳の女の子とオンラインで料理作り。
    料理を好きになるきっかけ作りとして一緒にカワイイサラダ作りを行った。

    失敗したからこそ、身につくことがある

    将来、料理に関わりたいというお子さんや親御さんにアドバイスをいただけないでしょうか。

    料理を続けていると、必ず失敗することがあると思います。その時、どうするのかを自分で考えてみてほしいです。私も子どもの頃に作りたくて作ったクッキーを何度も焦がしたことがあります。また、今でもどんなレシピも私が失敗しておくことで、みなさんに堂々とお伝えできるのです。つまり失敗は、次へのステップなのです。 「なんで失敗したのかな?」と考え、できれば失敗したものも食べられる方法を考えてみてほしいです。親御さんも一緒に食べてあげ、その子が挫けないよう、それぞれのキャラクターに合わせてフォローしてあげてください。失敗したからこそ、身につくことがあると思いますから。

    掲載された情報はすべて記事公開日時点のものです。