イオンファンタジーのエデュテイメント
インタビュー
2021.08.13 UP
少年のような天真爛漫なキャラクターと、東京海洋大学名誉博士というアカデミックな肩書を併せ持つさかなクン。豊富な知識と楽しい語り口、画力を活かして、魚の魅力を多くの人に発信する活動に携わるほか、環境省・文部科学省・農林水産省・外務省といった政府機関の広報大使などの役職にも就いています。この夏にイオンファンタジーが開催する「夏のギョギョッと大作戦!」では、「お魚のあそび!? まなび!?」大使に就任していただきました。
クレーンゲーム「リアルすぎる!ギョギョッと水族館!」のプライズとなったマダコ、ハコフグ、クニマス、クロマグロの本物そっくりのぬいぐるみを監修。絶滅しそうな希少な水の生き物や海を汚すゴミの問題を、あそびから学べるコンテンツ「お魚のあそびまなびドリル」「海を守ろう!ギョギョッとレスキュー!」の制作にも参加してくださいました。小さいころからおさかな愛を発揮していたというさかなクンは、どんなあそびから何をまなび、今日の活躍につながったのでしょうか。
お魚の豊富な知識と経験に裏付けされたトークでギョ存知!さかなクンです。
2015年3月には東京海洋大学名誉博士を授与されました。 皆様にお魚の情報や正しい知識、美味しい食べ方や環境問題、漁業従事者の 皆様とともに明日の漁業を考えて頂こうと全国各地で講演を行っています。
また、2010年には絶滅したと思われていたクニマスの生息確認に貢献。
さらに海洋に関する普及・啓発活動の功績が認められ、「海洋立国推進功労者」 として内閣総理大臣賞を受賞。
2011年農水省「お魚大使」、2012年文科省「日本ユネスコ国内委員会広報大使」、 2014年には環境省国連生物多様性の10年委員会(UNDB-J)「地球いきもの応援団」 の生物多様性リーダーを務めています。
執筆活動では『朝日小学生新聞』にて毎週(土)「おしえてさかなクン」コラムを連載中。
また、NHK『ニュースシブ5時』の「さかなクンのギョギョ魚ななかまたち」コーナーで さかなクンが日本各地の漁師町を訪ねて、旬の魚や郷土料理をご紹介しています。
東京都出身、館山市在住。
(さかなクンオフィシャルサイトより)
小学校2年生ぐらいのとき、最初に好きになったのがタコちゃんです。それからお魚もどんどん好きになりました。もともと絵を描くのが好きでしたので、タコちゃんやお魚の絵を描くためにまず図書館で調べ、本物に会いたくてお魚屋さんやお料理屋さんの水槽などを見て回るようになり、やがて水族館にも足を延ばすようになったんです。当時住んでいた街は海からは遠かったんですが、行く先も決めずに自転車で走るうちに「でっかいお魚屋さんみつけた!こんなところにお魚の市場があった!」と、世界が広がっていくんです。
そうして行く先々で出逢う人たちがいろいろ教えてくれて、どんどん知識が増えていきました。お魚屋さんや市場のプロの大人たちもお魚のことを「本当に好きなんだなあ」と面白がって教えてくれましたし、お魚の料理屋さんや熱帯魚屋さんも、お魚の生態とかたくさんの知識を教えてくれました。当時の自分にとって、みんな尊敬できる先生だったんです。
母は「こっちにいい水族館があるよ。あっちに大きなお魚屋さんがあるよ」と、積極的に連れて行ってくれました♪勉強そっちのけで絵やお魚に熱中していたので、学校の先生からは「もう少し勉強したほうが……」と言われたらしいのですが、母は「みんなと同じように勉強してみんなが同じようにロボットみたいになるより、うちの子は絵を描くのもお魚も好きなので、それでいいです」と言ってくれていたようです。
ひとつのことにのめり込むことができたのは、家族や周りのみなさまの協力や応援をいただけたからこそです!
はい!マダコちゃんは最初に好きになった生き物だから、細部まで丁寧に作っていただきました。
イカちゃんやタコちゃんは頭足類といって、頭から直接足が生えているような特徴があります。マンガでは丸い頭が上に来て、墨を吹くところがとがった口みたいに前に描かれていることがあるのですが、本当のタコちゃんは、敵や獲物などがすぐ見つけられるように目が一番高いところに持ちあげていて、墨を吹き出す“ろうと”(漏斗)と呼ばれる器官は頭の後ろ側にあるんです。口は8本の足の付け根にあり、お口の中の、歯のような役割をする器官(カラストンビ)は真っ黒。このプライズはその周囲の吸盤の配置まで、正確に再現されてるんです。
お魚の名前を覚え始めた小学校3年生のころに家族旅行で行った福島県の小名浜で、大きな水槽があるお魚屋さんがありました。その中で、大きなブリちゃんやマダイちゃんにドーンとぶつかられて、ピューンと突き飛ばされながらも健気にパタパタと泳ぐかわいいお魚がいて、それがハコフグちゃんでした。
それに元気をもらって、「自分も大人になったら、ぶつかられても頑張る人になろう」と思いました。その後、さかなクンとしてテレビなどに出させていただくようになった時、覚えていただけるようなアイキャッチとしてあの時のハコフグちゃんを帽子にしようと思いつき、自分で五(ギョ)面図を描いて職人さんにそのままに作っていただき、さかなクンの頭には常にハコフグちゃんとなったのでギョざいます。
クニマスちゃんは秋田県の田沢湖だけにいたサケ科の固有種で、すでに絶滅したと考えられていたお魚。ギョ縁があって京都大学総合博物館に保管されているおよそ70年前の標本の絵を描かせていただけることになったのです。
でも、長い年月保存液に漬けられた標本で色や模様は消えて白っぽくなっていました。すると偉大な先生から「クニマスに近いヒメマスを入手して調べてみなさい」とアドバイスをいただき、山梨県の西湖の西湖漁業協同組合の組合長さまからヒメマスちゃんとして贈られてきたお魚が、なんと昔、田沢湖から持ち込まれて自然繁殖していたクニマスちゃんだったのです。
絶滅したと思われていたお魚が生きて見つかったのは、クニマスちゃんが初めてのこと。この感動に携わることができて夢のようです。
クロマグロちゃんは黒いダイヤとも呼ばれて、お正月の初セリではもの凄い高値で取引され大注目!食べればとてもおいしく、幸せの塊のようなお魚。でも、じつは最近では数が減っている絶滅危惧種なんです。
巨大なお魚なので養殖も難しくて、東京海洋大学の吉崎悟朗先生は、サバちゃんの仲間を代理のお母さんにしてクロマグロちゃんを生ませるギョ研究をされています。あんなに大きなお魚(3mほど)なのに、卵(およそ1ミリ)はメダカちゃんの卵(およそ1.5ミリ)より小さいんですよ。それを知ると、まるで奇跡のようでギョざいますね!
編集部注)東京海洋大学の吉崎悟朗先生のインタビューはこちら
→釣り好き少年の「夢中」が、サバにマグロを産ませる研究につながった
どの生き物にも、その種固有の特徴があって愛おしい。かなうなら、日本中のおよそ4000種のお魚のぬいぐるみをそろえてみたいでギョざいますね!!
人間は五(ギョ)感で感動をいただく生き物です。感動すること、夢中になれることは人によって違いますが、何も好きなものがない人はいないと思います。
野球が好き、ケーキが好き。それが将来、どう伝えるのか、いろんな道があると思いますが、好きなものは現場で本物を見る事が大事だと思います。スポーツでも食べ物でも!!
さかなクンの場合はそれがお魚で、小さい頃は周囲には「好きなものを仕事にするな」という人もいたけれど、最初から順調だったわけではありません。水族館での研修や、熱帯魚販売店やお寿司屋さんでのアルバイトとか、お魚の周りでいろいろとやってみてもなかなかうまく行かない中から、テレビ番組に出た事がきっかけで、今の事務所に自分を活かす道を導いていただいて、さかなクンという職業になれました。
好きなこと、夢中になれることからは、たくさんの気づきをいただき、人の輪もできて元気をいただけます。うまくいかなくて自信をなくした時も「お魚の大変さと比べたら、自分の今の苦労は大したことじゃない」と思えましたし、失敗して怒られた後でもエビスダイちゃんの大きなくりくりお目々で微笑むようなかわいいお顔を見ると「微笑んでくれてありがとう」と元気をいただけました。お魚とのギョミュニケーションで元気と勇気をいただき続けています。
ツラくてもこれがあるから頑張れる!というものがあるのは強みになりますね!
絶滅危惧種と聞くと遠い世界の話に聞こえるかもしれませんが、クロマグロちゃんもニホンウナギちゃんも含まれているのです。貴重なお魚は、身近な川や湖にも多いんですよ。海より範囲が狭い分、環境の変化でいなくなりやすいんですね。クニマスちゃんも田沢湖からは絶滅してしまいました。
ほかにも長野県の諏訪湖のスワモロコちゃんや関西に生息していたミナミトミヨちゃんといった、淡水魚も絶滅種とされています。関東でもムサシトミヨちゃんという小さなお魚が絶滅したと考えられていたのですが、埼玉県の元荒川の清流に生き残っていることが分かったんです。
こうした、人々の身近な自然環境が大きな海にもつながっています。だから、身近な自然を大切にすることが貴重な生き物を守ることにつながります。これからも、お魚の感動をギョ一緒させてください。
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