『ゲーム×教育』という新しい学びの形。ゲームを教育に利用する5つのメリットとは

「ゲームを使って教育をする」と聞いても、想像しづらい方が多いのではないでしょうか。
近年では「ゲームの学習効果」が注目されており、実際にゲームタイトルで教育版がリリースされるなど教材としての利用が見られるようになってきました。

携帯ゲーム機やスマートフォンが普及し、誰でも手軽にゲームをプレイできるようになった今、一部の小学校や塾ではゲームを教育に活用しようという動きが見られます。

そこで今回は、ゲームの教育効果やメリット、実際に教育に利用した例をご紹介します。

授業にゲームを活用することで子どもの集中力がUP

日本マイクロソフト株式会社は、2015年、東京都渋谷区立猿楽小学校の6年生30名を対象に「Minecraft」を利用したプログラミング授業を実施しました。これは、総務省の「ICTドリームスクール実践モデル プログラミング教育とデジタルものづくり教育の実践」という実証事業の一環として行われたものだそうです。

授業前後に行われた子どもたちへのアンケートでは、6段階の自己評価で、「集中できた」の項目で3人に1人、「話し合いをたくさんできた」の項目で3人に2人が、1段階向上したと答えていたそうです。

このように、ゲームを教育に活用することで、子どもたちの能力UPに繋がった事例はいくつもあります。これに関連して、ゲーム学習論の専門家であり、東京大学准教授の藤本徹氏は著書『シリアスゲーム』の中で、ゲームを教育に利用するメリットとして、以下の5つをあげています。

ゲームを教育に活用する5つのメリット

1.モチベーションの喚起・維持

藤本氏によれば、ゲームを教育に活用することの最も基本的なメリットは、モチベーションの喚起・維持だといいます。

机に向かって問題集を解いたりする、いわゆる「普通の勉強」ではやる気を起こさなかった子どもたちも、ゲームとなると、途端にやる気を起こし、熱中して取り組むようになります。

たとえば、学校の音楽の授業は嫌いだったけれど、音楽ゲームは大好きというような方は多いのではないでしょうか。音楽ゲームでは、流れてくる音楽にあわせて、ボタンを押したり、ステップを踏んだりといった何らかのアクションを取ります。それによって、音楽をする上で重要な「リズム感」などが自然と身につきます。

ゲームがモチベーションの喚起・維持につながる理由について、藤本氏は、ゲームを利用することから生じる「新奇性」、ゲームの「インタラクティブ性」などいくつかの要因が考えられると述べています。どんどん新しいステージ、キャラクターなどが登場したり、自分の意思で選択した行動がすぐに結果として反映されたりする、ハマりやすい仕組みがゲームには詰め込まれているのです。

2.全体像の把握や活動プロセスの理解

ゲームを利用した学習だからこそ出てくるメリットのひとつが、全体像の把握や活動プロセスの理解。ゲームの世界では、マップなどにより、全体を俯瞰することが可能であり、また、プレイヤーが行った選択や行動の結果が簡単に確認できます。

たとえば、文明をモチーフとしたターン制のシミュレーションゲーム「シヴィライゼーション」などのゲームでは、プレイヤーがマップなどによって全体を見渡し、そのときどきの状況を判断し、何らかのアクションを起こし、その結果が視覚的に表現されます。現実世界では非常に長い年月のかかる文明の発達もゲームの世界では一瞬で進めることができるので、すぐに結果が確認できます。

このように、ゲームでは、現実世界ではなかなか難しい、全体像を把握したり、活動プロセスを理解したりすることが可能になります。

3.安全な環境での学習体験

特に、戦闘や車両の操縦、医療活動などの危険が伴う学習においてゲームが発揮する重要なメリットは、安全な環境での学習体験ができることでしょう。実際、フライトシミュレーションゲームを導入しているパイロット訓練校もあります。現実世界では安全性の面で難しいことも、ゲームの中では一種のシミュレーションとして体験することができます。

それ以外の分野でも、危険な薬品を使う実験や複雑な電気工作など、安全性などの面で現実世界では行うことが難しいことが、ゲームという疑似環境のなかでは、安全に、かつ、何度も体験することができます。

そして、安全な環境で学習できるからこそ、学習に集中でき、また、何度も繰り返し学習できるため、効率的にスキルを身につけることができます。

このように、現実世界では危険でできないけれど、「ゲームだからやってみよう」となるのもゲームのひとつの強みと言えます。

4.重要な学習項目を強調した学習体験

ゲームの教育への利用は、重要な学習項目を強調した学習体験が可能であるというメリットもあります。
現実世界では様々な事情により、どうしても学習内容が複雑になってしまうことがよくあります。

たとえば、自動車学校の教習で、ハンドリングの練習だけをしたかったとしても、実際は、アクセルやブレーキ、周りの状況確認など、他の様々なことを考えなければならないのでこれだけに集中というのはなかなかできません。しかし、ゲームであれば、ハンドルだけに集中して練習することも可能です。

また、植物の成長の様子などについて学びたいとき、実際に植物を育てようとすると、育つまでに何年もかかるものも少なくありません。そのため、学校などでは、時間的制約などの事情から、学習対象となる植物の種類がかなり限られてしまうでしょう。しかし、ゲームであれば、短い時間での学習が可能です。たしかに植物を育てる大変さは学べないかもしれませんが、「植物の成長の様子」という項目に集中して学習したい場合は非常に効率よく学ぶことができます。

このように、ゲームでは、複雑な学習の内容を単純なものにして、効率的に学習を進めることが可能になります。

5.行為・失敗を通した学習

行為・失敗を通した学習ができるのもメリットのひとつ。ゲームの世界では、怪我などを気にすることなく安全に学習活動を行うことができます。

知識を身につけるだけであれば、Youtubeなどの映像教材でも学べるでしょう。しかし、映像を見るだけではどうしても受動的な学習になってしまいます。

ゲームを活用することで、実際に自分で行動しながら能動的に学習することができます。

また、ゲームではたとえ失敗したとしても、何か起きるわけではないので、失敗を恐れずに、何度も思考錯誤を繰り返すことができます。現実世界ではリスクが大きく、なかなか挑戦できないようなこともゲームの中ではいくらでもできてしまいます。

このように、ゲームを学習に活用することで、行為・失敗を通した学習が可能となり、効率的な学習に繋がります。

ゲームを教育に活用することの5つのメリットを紹介しました。
「子どもがゲームばかりしている」とお悩みの保護者の方も少なくはありませんが、ゲームをすることの学習効果は明らかになっています。
今回の記事をきっかけに、ぜひゲームを教育やご自身・子どもの学びに活用してみてください。

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(出典)
東京大学 藤本徹氏│『シリアスゲーム』
音楽ゲーム

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株式会社ENロジカル
京都大学医学部医学研究科在学中に脳神経の形成機構の研究に従事。
在学中に起業し、事業売却を経験。
自身もwebのディレクターとして従事し、経営する会社ではいくつものwebメディアを運営している。
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