子どものゲーム時間は制限すべき?データに基づく最適なプレー時間などご紹介

「子どもがゲームをやりすぎかも…」
「ゲームと勉強を両立してほしい」

お子さんも夢中になってプレーする「ゲーム」。楽しんでもらえる分にはいいですが、プレー時間や勉強との両立などで頭を抱える保護者の方も少なくないようです。

今回は、お子さんの最適なプレー時間はどれくらいか?統計データを参考にしながら解説していきます。

インターネット利用調査から見るゲームプレー時間

令和4年の調査によれば、青少年のインターネットの平均利用時間は、前年度より17分増加し「約4時間41分」となっています。 

10歳以上の小学生では、平均して1日に3時間34分程利用しているというデータとなっています。

▼インターネットの平均利用時間

小学生3時間34分
中学生4時間37分
高校生5時間45分

また、インターネットの利用目的別に見ると、勉強に利用している平均時間が「58分」に対し、趣味・娯楽は「2時間49分」と、およそ3倍の時間であることがわかっています。

内訳を見ると、1日に3時間以上インターネットを趣味・娯楽に利用している割合は「41.5%」です。これは、半数近くがゲームや動画視聴などの娯楽に、多くの時間を割いていることを示しています。

現代では、ゲームもオンラインでプレイすることが当たり前になってきました。
お子さんにとってゲームは魅力的なコンテンツですが、夢中になりすぎて心配してしまう側面もあることは否定できないでしょう。

参考資料:内閣府|青少年のゲーム機等の利用環境実態調査

ゲームは1日1時間?適切なゲームの時間設定

お子さんがゲームをする上で一番心配になるのは、ゲームをすることで勉強がおろそかになったり、学力が下がってしまうことです。お子さんがゲームをする平均時間と学力の因果関係との調査によると、以下のことがわかっています。

①1日当たりのゲーム時間が長いほど、平均正答率が低い

ゲームをプレイする時間が長ければ長いほど、問題の平均正答率は低い傾向にあります。

これは教科は関係なく、一律にこのような結果となっています。ゲームをプレイする時間が長いほど、お子さんはゲームに夢中になってしまい、相対的に勉強への意欲や集中力が下がっていると言えるでしょう。

②平均1時間を超えると、正答率が下がりやすくなっている

ゲームを全くしていないお子さんと比べると、ゲームのプレイ時間に比例して正答率は低下しています。しかし、30分未満や30分~1時間程度のプレイ時間であれば、ゲームを全くしていないお子さんと比べても、それほど大きな差は出ていません。

ゲームのプレイ時間が学力へ影響を及ぼすのは、「1時間以上」だと考えられます。

③ゲームの約束を守っているのは、7割程度

保護者がお子さんとゲームについて、ルールを決めているご家庭は多いです。

しかし、そのルールをきちんと守っているのは「7割程度」という結果も出ています。場合によっては、お子さんはルールを破ってしまうこともあるようなので、お子さんの自制心だけに全てを任せてしまうのは難しいと言えるでしょう。

出典元:国立教育政策研究所|全国学力・学習状況調査の結果

このように、お子さんがゲームをし過ぎると、勉強時間や勉強への意欲が削られるなどの影響があるのは明白です。しかし、だからといって「ゲーム=悪」と単純に捉えるわけにはいきません。お子さんにとってゲームは、ただの娯楽であるだけではないからです。

ゲームを辞めさせることを目的にしてはいけない

そもそも、ゲームを辞めさせればお子さんが勉強をするようになるとも限りません。

勉強をする時間は作れますが、娯楽だったゲームを取り上げられ、さらに強制的に勉強をするように指示されても、お子さんのモチベーションが下がってしまいます。

お子さんと保護者の信頼関係も崩れてしまうかもしれません。

ゲームはお子さんにとって、単なる娯楽だけでなく、人間関係構築のためのツールでもあります。

例えば、ゲームそのものが学校の友達との共通の話題になったり、一緒に遊ぶためのコミュニケーションの道具としてもゲームは一役買っており、安易にお子さんから取り上げてしまうと、お子さんの友達関係に大きな影響を及ぼす可能性があります。

ゲームそのものにメリットがある

お子さんがゲームに没入してしまうのは、「目標達成による報酬型の刺激」のためです。

強い敵を倒したり、スコアがアップするなど、ゲームにはわかりやすい目標達成ができる要素がいくつもあります。

ゲームが好きなお子さんには、そんなゲームの感覚を勉強にも取り入れることができれば、お子さんも楽しく勉強ができるでしょう。

また、ゲームそのものにもメリットがあります。

  • 集中力や課題解決能力が身につく
  • 想像力などクリエイティビティが身につく
  • コミュニケーション能力が向上

このように、ゲームは勉強とは違った側面からお子さんの能力を伸ばすことができます。

ゲームが及ぼすデメリットは、ゲームのしすぎで学力が落ちたり、それが勉強や生活に影響を及ぼす可能性がある点です。
これはゲームそのものには問題がなく、ゲームとの付き合い方を注意すれば回避できる問題であるということが言えるでしょう。

メリハリをつけたり上手く活用したりできれば、全く禁止する必要はありません。

お子さんがゲームをし過ぎないよう防ぐためには、あらかじめルールを作っておくことが大切です。次に、お子さんとルールを作る上で重要なポイントを紹介します。

長時間のゲームを防ぐルール

①話し合ってお子さんとルールを作る

保護者が一方的に考えを押しつけるよりも、お子さん自身がどのようなルールなら守れるかなどを考え、一緒にルールを作る方が良いでしょう。お子さんが自分で考えることで自主性を損なわず、自分で決めたことであれば守りやすくなるためです。

また、その際にはどうしてゲームのしすぎがよくないのかを説明することも大切です。お子さんがルールを守る意義を納得していれば、自然とルールは守られるようになります。

勉強や生活を疎かにしないため、といった目標があると、ルールのイメージがしやすいでしょう。

②ルールを守る信頼関係を築く

お子さんが納得していなければ、ゲームを渋々やめても、すぐに勉強に繋がるとも限りません。また、ルールを破ったからとむやみに叱りつけても、理不尽だと感じられてしまえばお子さんの機嫌や信頼関係を損ねてしまいます。

お子さんとの信頼関係を損ねてしまうと、折角決めたルールも守らないどころか、こっそり隠れてゲームをするなど、好ましくない行動をしてしまうかもしれません。何かトラブルに巻き込まれたときも、すぐに保護者に相談することができず、悪化させてしまう可能性もあります。

ルールが守られなかった場合、なぜ守れないのかなど、まずはお子さんの気持ちを聞きましょう。「ゲームをしないと、友達に仲間はずれにされる」といった、お子さんにとって重大な理由があるかもしれません。そこできちんと話し合い、お子さんが納得できることが大切です。

③ペアレンタルコントロールを活用する

ペアレンタルコントロールとは、子供によるパソコンやスマホ、ゲーム機などの利用を保護者の権限で制限する仕組みを指します。

スマホやインターネットの制限設定ができるように、ゲーム内でも利用時間などの制限を設けることができます。Switchの「みまもり設定」など、利用時間がどれくらいなのかを確認することも可能です。

厳しすぎる設定をしてしまうと、かえってお子さんのゲームへの依存度を高めてしまうため、利用時間がどれくらいなのかをお子さんと一緒に確認する、など自制心を促すために活用するのも良いでしょう。また、ルールをきちんと守れているかなど、出来ていることに目を向けることも大切です。

コロナの影響でオンライン授業が広まったほかにも、ゲーム方式の学習アプリなども多く登場しています。楽しくゲームをプレイしながら、漢字や英語を学習できるアプリやブラウザゲームもたくさんあります。お子さんにあった学習ゲームを、日々の勉強に取り入れてみるのはいかがでしょう。

まとめ

ゲームをする時間が長ければ長いほど、学力に悪影響を及ぼす可能性があります。ゲームは1日1時間、といった、適切なゲームの時間設定やルールを設けることが重要です。

ゲームをするときのルールを作るためには、以下のようなポイントがあります。

  • ①話し合ってお子さんとルールを作る
  • ②ルールを守る信頼関係を築く

お子さんがゲームに夢中になることは、悪いことではありません。夢中になりすぎてつい長時間やりすぎてしまったり、そのせいで勉強やその他のことがおろそかになることが問題になるのです。

適切なプレイ時間と、そのためのルールを守ればメリットもたくさんあります。メリハリをつけ、適度なバランスでゲームをぜひ、効果的に活用してください。

記事執筆者

株式会社ENロジカル
京都大学医学部医学研究科在学中に脳神経の形成機構の研究に従事。
在学中に起業し、事業売却を経験。
自身もwebのディレクターとして従事し、経営する会社ではいくつものwebメディアを運営している。
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