
「steam教育って何?」「steam教育って何を学べばいいの?」
このようにsteam教育について知りたいと考えている人はたくさんいます。
当記事では、steam教育を知りたい人向けに目的や重要性、学校で実施しているsteam教育の内容について紹介しています。steam教育の大切さについて学んでいきましょう。
【記事を読んでわかること】
- steam教育について
- steam教育のメリット・デメリット
- steam教育の重要性
- steam教育の内容
steam教育とは?目的や内容をわかりやすく紹介

はじめに、steam教育の意味や目的について詳しく解説します。steam教育と聞いて、ピンとこない人がたくさんいらっしゃるでしょう。
steam教育について知りたい人は一緒に学んでいきましょう。
1.steam教育の内容は
steam教育とは、ある分野の頭文字をとって作った造語です。
移り変わりが目まぐるしい現代を生き抜く力を育てるために作られました。
- Science(科学)
- Technology(技術)
- Engineering(工学・ものづくり)
- Art(芸術・リベラルアーツ)
- Mathematics(数学)
上記5つにおいて、分野の枠を超えて学ぼうとする教育指針です。steam教育は世界中で注目されています。
2.steam教育の目的は
steam教育の目的は、IT社会に対応できる人材育成です。
AIやIoTが私たちの生活に浸透してきました。ここ数年で電化製品がスマホと連動するようになり、情報はネットからすぐに得られるようになりました。レストランでは、ロボットが料理を届けるところもあります。タブレットで注文を取ることは当たり前です。
私たちの生活が便利になったのは、AIやIoTが発達したからです。今後も、成長スピードは著しく、さらに便利な世の中になるでしょう。
目まぐるしい環境の変化についていくため、steam教育が大切だと考えられています。
AIやIoTに詳しい人材がたくさんいる日本になれば、さらに経済発展が期待できます。
steam教育の重要性

steam教育では、「自分で課題を見つけ、問題を解決する力をつける」ことが重要です。必要な分野を学ぶだけがsteam教育ではありません。最終的に論理的思考力や問題解決能力を身につける教育が大切です。
世界中でITの技術発展が急激に進み、さらに技術開発は止まらないで進化し続けるでしょう。
さまざまな能力を持った「新たな変化を生み出す人材」が必要になってきます。
steam教育は日本だけではなく、世界中が注目している教育法です。アメリカでは、steam教育を取り入れるために10億円以上の予算を毎年確保。オバマ大統領が2013年にsteam教育に関する演説をおこなってから、力を入れ続けています。
中国では、教育ロボットメーカーのMakeblock(メイクブロック)が数々の教育ロボットやソフトなどを作成。Makeblockの教材を使って中国では学校でプログラミングの授業が進められています。
日本でもsteam教育を取り入れるべきだと文部科学省が発言しています。
しかし、アメリカや中国など海外の教育状況と比較すると、steam教育で日本は遅れているのが現状です。
steam教育のメリット

ここからはsteam教育のメリットについて紹介します。
【steam教育のメリット】
- 幅広い分野で将来に役立つ
- 問題解決能力が身につく
- 時代についていける能力が身につく
- 論理的思考が身につく
1.幅広い分野で将来に役立つ
steam教育は1つの分野に特化した教育ではなく、科学から数学、芸術などのさまざまなスキルが身につきます。
また、幅広い知識やスキルを学んでいるため、自分で考えて問題提起する力を育み、論理的思考力が身につきます。
将来なりたい職業があったとしても、自分に知識がない場合や関係性の高いスキルがない場合、たくさんの人が諦めるでしょう。ですが、steam教育を受けている人は、現代で活躍している多くの職業につく力があります。
steam教育を受ければ、多くの職種で活躍できる人材になれるでしょう。
2.問題解決能力が身につく
steam教育では、問題解決スキルが習得できます。
steam教育は5つの言葉を合わせた造語です。分野や教科の枠を超えて総合力のある人を育てます。
steam教育を学ぶときには、受験勉強のように暗記や計算だけを重要視しません。steam教育のプロセスは下記5点からなります。
- 問題提起を自らおこなう
- 問題点をまとめる
- 改善点を見つける
- 解決策を模索する
- 解決する
基本的にsteam教育を学ぶ際は自分で考え、問題解決を目指します。
これらの教育方法から、steam教育では、問題解決能力が高まると予想されます。
3.時代についていける能力が身につく
IT産業の発展が著しい世の中についていけるスキルが身に付きます。AIやIoTは全てにおいてプログラミングが必須です。ロボットやアプリゲームを作るためにも、プログラミングを知っていないと関われません。
steam教育の一環として、小学校からプログラミングが必須教科になりました。
現代に必要なスキルの1つはプログラミングであるといえます。
日本ではプログラミング教育が小学校から始まり、ほとんどの子どもがプログラミングの知識を持って進学します。プログラミングのスキルや知識がある人とない人では、IT産業への関わり方が違うでしょう。
4.論理的思考が身につく
steam教育を学んだ人は、物事の整理や順番立てを正しく判断できる論理的思考が習得できます。
steam教育では、問題提起から解決まで自らまとめて、考えて、答えを出す教育指針です。
自分で理論立てて、最後まで道筋を立てるスキルが身につくようになります。
steam教育のデメリット

ここからはsteam教育のデメリットを紹介します。steam教育を学ぶデメリットではなく、今の日本に対するsteam教育の合わない点です。
【steam教育のデメリット】
- 日本の受験に対応していない
- 先生不足や先生のスキル不足
今後、日本はどのようにsteam教育と向き合っていくべきなのか見ていきましょう。
1.日本の受験に対応していないため、授業に取り組みにくい
現在の日本の受験はペーパーテストがメインです。日本史や世界史を暗記したり、計算を解いたりします。
この中にsteam教育の要素は少なく、直接授業に取り入れにくい状況です。
高校は特にsteam教育を取り入れる時間がありません。
大学進学を中心に考えている進学校では、受験に関係ないsteam教育を確保するよりも、受験に直接関係のある教科の勉強をしようと、多くの先生や生徒、保護者が考えています。
大学受験や高校受験では、少しでも点数を上げるために、1日に何十時間も勉強して、受験に挑みます。受験に全く関係ないsteam教育をする時間を受験勉強にあてたいと思っている人がたくさんいるのです。
steam教育を広めるには、先生や教育の関係者だけではなく、生徒や保護者の理解が必要です。
2.先生不足や先生のスキル不足(プログラミング)
現在(2022年10月)の先生はsteam教育で必要なプログラミング教育を受けていません。
現役世代の先生の義務教育過程では、プログラミングが必須科目に含まれていなかったためです。
一部の私立小学校を除き、基本的には全科目を教えている小学校の先生たちにとって、新しく追加されるプログラミング科目は負担となっています。急ぎ学習したとしても、スキル不足の課題は残るでしょう。
まだまだ日本の教育界では、プログラミングに詳しい先生が不足しており、海外のsteam教育と比較してもスロースタートです。
プログラミングだけではなく、steam教育がいきなり必要だといわれても、先生方も知識のない人がほとんどです。このような観点からも、教える側の人材不足は日本のsteam教育の課題です。
steam教育の問題点

ここからは、現在の日本において、steam教育を学ぶ際の問題点を紹介します。
steam教育をしっかりと学んでスキルを習得するために、問題点を解決していく必要があります。
【steam教育の問題点】
- 教科の枠をこえた学習時間の確保
- 探究プロセスのまとめや整理に対する取り組みが十分でない
- 高校におけるsteam教育の時間確保が難しい
1.教科の枠をこえた学習時間の確保
学校の時間割は、基本的に教科ごとに決まっています。1コマにつき1教科の時間割では、steam教育の柱である「教科の枠をこえた学び」ができません。現代の時間割では、小学校の「総合」がsteam教育に最も近い教科です。
現代のカリキュラムでは、steam教育の「科学と数学の融合した考え方」や「芸術を取り入れたIT技術」を伸ばせません。
今後の教育では、「理科と数学の時間」「芸術とプログラミングの時間」のような教科をあわせた時間割が必要といわれています。
2.探究プロセスのまとめや整理に対する取り組みが十分でない
steam教育として、問題提起から解決まで、思考力を伸ばす教育に取り組む学校も徐々に見られ始めました。
steam教育では「自分たちで考え、論理的思考を育む」といった探究プロセスが重要としています。
探究プロセスとは、「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」を自分で考えることをいいます。
自ら考える教育を実施する学校が増えています。
しかし、十分な時間が取れず、課題設定と解決だけにフォーカスして、整理やまとめの時間が足りていません。
steam教育の本質は、探求プロセスのすべてに取り組むことが重要です。
3.高校におけるsteam教育の時間確保が難しい
高校は科目数も増え、steam教育の時間確保が難しくなっています。高校の普通科では10教科近くを教わります。現在のカリキュラムに対する時間確保は難しいでしょう。
デメリットでも紹介しましたが、高校は受験勉強が中心です。
時間確保が難しい理由はいくつかありますが、steam教育の内容が受験に関係ないところでしょう。
幼児(未就学児)のsteam教育とは

ここからは、幼児期に関するsteam教育について解説します。
保育園や幼稚園でのsteam教育
保育園でおこなう、季節の工作やものづくり、自然体験、科学体験はsteam教育の一環といえます。ものづくりはEngineering(工学・ものづくり)のスキルを高め、自然体験や科学体験はScience(科学)やTechnology(技術)のスキルにつながります。
幼児期はsteam教育の科学や数学、芸術に関する学びはまだまだ早いと思いがちです。
しかし、幼児期こそsteam教育の基礎を鍛える重要な時期です。
「考える力」「創造する力」「解決する力」は3歳までに8割、6歳までに9割が決まるといわれています。
幼児期には考える・見る・触るなどの五感を意識した体験型steam教育で遊びながら学び、協調性を育むのがおすすめです。
家庭でのsteam教育おすすめ知育玩具紹介
幼児時期のsteam教育におすすめな知育玩具はカードゲームやボードゲームです。
具体的にはオセロやトランプが挙げられます。子どものレベルに合わせて選びやすい玩具です。
勝敗がつくゲームでは、子どもの「勝ちたい」という気持ちが生まれます。すると、勝つ方法を考えるために思考力が活性化された状態になるのです。「次はどのカードを出せばいいかな」「相手からどんなアクションがくるかな」と状況判断や先を読む力がつくでしょう。
【幼児期おすすめ知育玩具】 カードゲームやボードゲーム |
小学校でおこなわれているsteam教育とは

次は小学校でおこなわれているsteam教育について紹介します。
タブレット導入によるICTスキルの充実
小学校では、GIGAスクール構想により、1人ひとりにタブレットが支給されました。
家庭によるICTスキルの格差や小学生からの全体的なICTスキルアップを実現しています。
世の中はIT産業が発展しており、様々な職業が活躍しています。大人になって、「パソコンが使えないからITに関わる仕事につけない」このようなことを防ぐためにも小学校時代からICTスキル獲得は重要です。
自分で発言・考える力を身に着ける授業
小学校では、自分の力で考えて、発言する力を重視しています。
小学校の授業では、手を挙げて発言します。昔から変わらない形です。
昔は、問題の答えがわかったときに手を挙げて、発言は正解のみを言っていました。
最近の小学校では、発言する際に「どうしてその答えになったのか」まで求めます。
自分で考えて、思考をまとめ、発言するまでのプロセススキルを磨くために実施しています。
steam教育の「自分で課題を見つけ、問題を解決する力をつける」を実現するための取り組みです。
プログラミング授業の追加
近年必修化された「プログラミング」の授業が小学校で始まりました。
小学校のプログラミングは、いきなり言語を学んだり、コードを組んだりしません。
scratchという子どもでも簡単にプログラミングを学べるツールで学習します。
scratchは難しい英数字をつかったコードを組まず、プログラミングの基礎を学べます。見た目は小学生でも理解しやすいブロック状のコードです。
ブロックは色で分けられ、プログラミングの基礎である「動き、見た目、音、ペン、制御、調べる、演算、変数」がカンタンに学べます。
家庭でできる小学生のsteam教育
家庭でも簡単にプログラミング教育が学べます。今回は3種類のサイトを紹介します。
![]() scratch | ![]() CodeMonkey | ![]() Cord.org |
公式サイトはこちら | 公式サイトはこちら | 公式サイトはこちら |
・無料のビジュアルプログラミング言語 ・小学校の授業でも使用 | ・ゲームを通してプログラミングが学べる ・年齢やレベルに合わせたコース ・30ステージは無料 | ・コンピューターサイエンス入門から 上級コースまで |
中学校でおこなわれているsteam教育とは

ここからは、中学校で取り組んでいるsteam教育について紹介します。
プログラミングの授業の追加
2021年から中学校でもプログラミングの授業が必修化されました。
小学校のプログラミング教育から、さらにITに関する知識を深めます。
中学校ではネットワークを活用したプログラミングや情報セキュリティといった、より高度な内容を学びます。
学校ごとに特徴のあるsteam教育
聖徳学園中学
聖徳学園中学の1年生はコマドリ動画(写真のみで構成された動画)を制作・発表しました。
自分たちでストーリーを考え、何が必要か、どんな技術が必要なのか話し合って作りました。
この課題を通して、「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」の考え方が必要になり、steam教育に欠かせない探究プロセスのスキルがアップします。タブレットを使用して映画を作成するため、ICTスキルも身に付きます。
「作品」の評価や振り返りを通して「次はもっといいものを作ろう」「あの時学んだことを取り入れてみよう」という気持ちを持ち、発展的な考え方を育むsteam教育を実施しています。
高校でおこなわれているsteam教育とは

ここからは高校で実施されているsteam教育を紹介します。
数学と理科の関心を高める教育

年々、数学と理科に関する職業に就きたいと考えている子供が減っています。また、世界的に見て低い傾向です。数学と理科に関するスキルや関心を高めるために「総合的な探究の時間」を増やしています。
学校ごとのsteam教育
日出学園
日出学園には「STEAM科」があります。芸術科・技術科・家庭科・情報科・総合探究科の5科で構成されるSTEAM科では、steam教育の思想を中心にカリキュラムが組み込まれます。
まとめ

これから注目が高まるであろうsteam教育。
以下の5つの分野をあわせた教育方針で、子どもの能力を伸ばす狙いがあります。
- Science(科学)
- Technology(技術)
- Engineering(工学・ものづくり)
- Art(芸術・リベラルアーツ)
- Mathematics(数学)
steam教育は、変化の激しいIT社会でも通用する人材を育てるために考えられました。問題を自分で見つけ、整理して、解決するまで自分の力でやり抜くスキルを育みます。
日本のsteam教育には、まだまだ課題が多く、人材不足や学校での時間確保が難しい現状です。steam教育の発展には、先生や教育側だけではなく、生徒や保護者の理解も必要になります。
そのため多くの学校で教育カリキュラムに組み込まれるのには、まだ少し時間がかかりそうです。
まずはご家庭や習い事を通して、steam教育に触れていくのがいいでしょう。
ゲームで楽しくsteam教育に触れられる『ゲームカレッジLv.99』

ゲームを通して本格的に子どもの非認知能力を伸ばす習い事が『ゲームカレッジLv.99』。
イオングループが運営し、東京大学准教授が監修するなど、本格的なSTEAM教育が自宅にいながら体験できるオンラインの習い事です。お子さんの興味や伸ばしたい能力に合わせて選べるコースで、楽しく続けられると話題です。

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