AEON Fantasy

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© AEON Fantasy Co.,LTD.

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サステナビリティ方針

 

パーパスに込めた想い

 

「こどもたちのえがおのために何ができるのか?」を問い続ける

 

イオンファンタジーと私の出会いは1995年、ゲームセンターのアルバイトで、イオン(旧ジャスコ)伊賀上野店の「モーリーファンタジー」で働き始めたことがきっかけです。  ある時、私はゲーム機の下に落としたメダルを一生懸命、 拾おうとしている小さなお子さまを見かけました。その子 は手を伸ばしてメダルを拾い、ホコリをフーッと吹いてゲー ム機に入れました。すると1枚のアタリメダルが返ってきた のです。その子があそんでいたそのゲームは、キャラクター によって倍率が異なり、高いキャラクターに当てると1枚で 5枚、10枚とメダルが返ってくるものでした。大人の感覚 では、高倍率のキャラクターを狙うのが普通ですが、その 子はその後も“1枚入れると1枚返ってくる”という行動を 延々と、本当に楽しそうに繰り返していました。

 店内の何気ないワンシーンですが、今でも鮮明に覚えて います。私は「こんなえがおをつくれるこの仕事は、とても 意味のある仕事かもしれない」と感じ、その後は「こどもた ちがえがおになるために自分は何をすればいいのか?」と 考えながら仕事に取り組むようになりました。これが、ファ ンタジーピープルとしての私の原点であり、2021年の社 長就任直後にパーパス制定をした想いにつながっています。

 当社は1997年の設立以来、「遊びを通じて夢と楽しさと ふれあいを提案し、 地域社会に奉仕しよう」という社是の もと、急速な成長・発展を遂げてきました。しかし、年数を 経て、創業の原点が忘れられがちになっているのではないか、 という問題意識が少しずつ社内に生まれていました。

2002年ジャスダック、2003年東証二部、そして2005年には東証一部上場と、会社が成長し、ステージが上がっ ていくに従い社会的にも注目される存在となり、売上・利 益など短期の数値目標達成へのプレッシャーが非常に大き くなってきました。企業である以上、利益の追求は当然です。 しかし、今後の持続的成長のためには、イオンファンタジー が社会に対し何を提供する会社なのか、その存在意義を改 めて見つめ、定義し直す必要があるとの考えに至りました。

 パーパスの策定にあたっては、創業者の想い・原点を再 確認したうえで、1年をかけ、多くのファンタジーピープル と対話を重ねました。

 これらの声をもとに、次代を担う若手従業員と経営陣で 何度も議論を繰り返した結果、私たちが存在意義の中心に 位置付けたのは「こどもたちの“えがお”」です。「こどもと 向き合うことは、未来の大人と向き合うこと。すなわち、次 の社会をつくること」という、未来の社会に対する私たちの 責任を、パーパスへの想いに込めました。

 今後はパーパスをグループの最上位概念と位置付け、そ の実現に向け、あらゆる事業活動を進めていきます。

 

パーパスを実現するために

 

従業員に寄り添う行動指針の策定と、誰もがチャレンジできる自由な組織風土づくり

 

 パーパスの社内浸透を図り、ファンタジーピープルの意 識と行動の変容を促すためには、従業員が日常業務の中で どのような行動をとればいいのか、明確な基準となる行動 規範の存在が不可欠です。そこで、パーパス策定とほぼ同 時に、次世代を担う若手を中心メンバーとするプロジェクト チームを立ち上げ、行動指針の策定に着手しました。

 策定にあたっては、特に日々の従業員同士の会話の中で 自然に話題に上ることを重視し、指示・命令調を排して「そ れはこどものえがおにつながることですか?」などの問い かけ調を意識しました。同時に日頃は忘れがちな行動を具 体的な形で多く盛り込み、日々の会話の中で「あ、忘れてた。 軌道修正しよう」とすぐに改善できる行動指針を目指しま した。自分や仲間に日々問いかけ続けていくことで、パー パスは従業員が自ら実現できるものとなります。

 今回のプロジェクトでは、若手リーダーとの対話を通じ私を含む経営陣と従業員との間で、 考え・想いをほぼ一致させることができました。当初は自分の独りよがりではない かと不安もありましたが、私の考えと従業員の考えが同じ 方向性になることも多く、結果的には私が当初、思い描い ていた通りの行動指針になったと思っています。さらにパー パスの実現に向け、従業員一人ひとりが自ら考え、チャレン ジしやすい環境を用意するのも経営者の重要な役割と認識 しています。ひとつは声を上げやすい環境の整備、加えてチャ レンジした人を正当に評価するシステムの導入です。

 私自身、「自分がこの仕事で会社に貢献できている」と思 えた時に、仕事が楽しいと感じてきました。ですからイオン ファンタジーでは職種・役職を問わず、全従業員が「自分は 価値を創出し、会社と社会に貢献している」と感じてほしい と考え、そのための様々な取り組みを進めています。

 2020年、私が国内事業責任者のポジションに就いた際 にチャレンジ提案制度を拡大しました。現場から提案を募り、 優れたアイデアは即実行するとともに、全国に水平展開す るというもので、改善を加えながら拡大・継続され、店舗ス タッフにとって「自分たちの提案が受け入れられ、全国に広 がっていく」という状況がモチベーションの高まりにつなが り「会社に貢献できている」と実感できる場になっています。

 また、2022年からプロジェクトメンバーへの評価制度を 導入しています。この制度ではプロジェクトメンバーに選ば れたことに対しプラス査定されるようになっています。新し い評価制度の導入により、多くの従業員が積極的にプロジェ クトに参加し、さらには自らプロジェクトメンバーとして手 を挙げ、新しいことにチャレンジする人がふえてくることを 期待しています。

 

中期経営計画(2021~2023年度)の進捗

 

「あそび×まなび」を届けるオンリーワンのエデュテイメント企業を目指して

 

 2021年度を起点とする3カ年の中期経営計画では、中 長期ビジョンとして掲げる『こどもと家族のえがおのために、 世界中に楽しい「あそび×まなび」を届けるオンリーワンのエデュテイメント企業』に向け、「ニューノーマル時代に 向けた事業領域の拡大」、「ITによる事業構造改革」という 2つの経営課題に挑戦しています。

 エデュテイメントとは、エンターテイメントとエデュケーション の融合を意味する造語です。元来、こどもは遊びの中から 多くを学んで成長するものであり、すでに展開中のスキッズ ガーデン、キッズーナなどにもエデュテイメントの要素は含 まれますが、当社はさらに踏み込んで「あそび=まなび」と 捉え、より広がりのあるエデュテイメントへと領域を広げて いきたいと考えています。

 例えば、従来の学習塾、通信教育などの教育事業に当社 が参入することはありません。しかし、これら事業の枠を超 えた“えがお”につながるエデュテイメントビジネスを開発 し、インドア・アウトドア・オンラインと広く提供していければ、 イオンファンタジーの強みを生かした新しい価値の創出に つながります。国内にとどまらず、世界中で遊びを提供して きた当社だからこそ、これまで蓄積した顧客基盤・開発力・ 専門人財を生かして事業領域の拡大による新しい価値創 出が可能です。すでにスタートしているオンラインの新規事 業も順調に推移し、アウトドア事業でも2023年度には開 業を予定しています。さらに、イオンモールなどの商業施 設向けに「遊・育・学・食」に関わる複数の店舗を複合的に 提供するGMS複合エデュテイメントフロアモデル構想など もあり、事業領域の拡大について様々なアイデアを検討し ています。

 中期経営計画初年度となる2021年度は、長引くコロナ 禍の影響を受け、売上・利益は計画を下回る結果となりま したが、防疫対策を継続しながら今後の成長のための取り 組みを着実に進めています。

 国内では、モーリーファンタジーの業態の活性化に取り 組み、2021年12月にはモーリーファンタジーむさし村山店 (東京都)を全面リニューアルしました。同店をモデルに多 店舗展開を進め、すでに2022年9月末現在4店舗となって います。またカプセルトイ専門店「TOYS SPOT PALO」、 プライズ専門店「PRIZE SPOT PALO」など戦略的小型店 も拡大しており、大きなビジネスに成長しています。

 中国では、コロナ禍が強く影響する中、新たな収益源確保に向けショッピングセンター内の営業面積の拡大に取り 組みました。新規事業について運動・健康をテーマに「あ そびを通じた運動」の成果をお客さまにフィードバックする 新業態の施設をオープンさせました。

 アセアンでは、「kidzooona」などインドアプレイグラウ ンド業態をメインに展開し、特に出店エリアの経済規模、出 店面積に合わせた小型モデルとして「Tiny kidzooona」 「KID’S BOX」の出店を拡大しています。同エリアではコ ロナ禍からの回復が加速しており、2022年1月にインドネ シアにオープンした新業態・日本風テーマ型インドアプレイ グラウンド「EDOKKO」も好調です。

 これまで日本で成功したモデルを海外で展開する手法が メインでしたが、今後はえがおを生み出していくために、各 エリアで現地ニーズに対応した業態開発を行い、地域で異 なるものを提供していくことが必要でしょう。創業以来こど もに「たのしさ」「ふれあい」を提供し続けてきた企業として、 そのノウハウを生かし世界中でローカライズに挑戦してい きます。

 

サステナビリティ経営の推進

 

事業を通じて「ファンタジーピープルのハピネス」をベースに5つの価値を創出

 

 中期経営計画では、企業活動の中核としてサステナビリ ティ経営の推進を掲げており、そのためのガイドラインとし て策定した「サステナビリティ方針」に基づき、持続可能な 社会と事業成長の両立を目指す取り組みを進めています。

 当社は“えがお”あふれる社会の実現へ向け、事業を通 じて「たのしさ」「ふれあい」「ファンタジーピープルのハピ ネス」「安全・安心」「おもてなし」の5つの価値を創出し、世 界中に提供し続けることを目指しています。

 5つの価値創出の中でも、私が経営者として特に重視し ているのが「ファンタジーピープルのハピネス」です。

 “えがお”づくりを存在意義とする会社として、まず「たの しさ」「ふれあい」は重要な創出価値ですが、この2つの創 出には従業員のえがおが不可欠です。従業員がつまらなそ うな態度では、お店にこどもを連れていきたいと思いませんし、こどもに楽しさは伝わりません。従業員は自分が幸 せを感じることで、初めてえがおでお客さまを迎えることが でき、その先にこどもたちのえがおがあります。「たのしさ」 と「ふれあい」を創出するベースとなるのは従業員のえがお・ ハピネスです。

 また、イオンファンタジーが創業以来ノウハウとして蓄積し、 脈々と生き続けてきた「安全・安心」と「おもてなし」につ いても、前向きに仕事に取り組む従業員なしには創出でき ません。ですから従業員こそ価値創出の担い手であり、「ファ ンタジーピープルのハピネス」をベースに企業価値向上を 目指しています。

 さらに、当社では5つの価値を持続的に創出していくにあ たり、事業に影響を及ぼす可能性のある重要課題(マテリア リティ)として、「気候変動への対応」「循環型社会への取り組 み」「こどもたちの未来への貢献」「従業員がいきいきと働け る組織づくり」「地域社会とのコミュニケーションの深化」「コー ポレート・ガバナンスの強化」の6つを特定しました。これら の課題に取り組み、サステナビリティ経営の実効性を高める ために代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委 員会」を設置しています。また同委員会の下に重要課題ごと に6つの「サステナビリティ倶楽部(以下、倶楽部)」を設置し、 具体的な取り組み内容の検討・実行に取り組んでいます。

 「サステナビリティ委員会」の委員選任では、3分の1以 上が社外有識者となる構成としました。課題解決において、 まず現状と、あるべき姿のギャップをしっかり認識する必要 があり、そのためには客観的・大局的な社外の知見が必要 と考えています。また、若手が中心となって活動している倶 楽部にも参画いただき、従業員が社内・外の様々なギャッ プを理解し、さらにギャップを埋めるためのヒントを得られ るものと期待しています。

 各倶楽部で課題解決に取り組むメンバーには、従来の社 内常識・慣習にとらわれず自分たちが本当に「こうしたい」 と思うことをどんどん提案してほしいと考えています。限ら れた経営陣の考え・判断だけでは企業は成長できません。 今はそういう時代です。「社長はそう言うけれど、自分はこ のように思います」という会話が社内で自然に生まれる会 社にならないと、持続的成長は望めないと思っています。

経営陣・従業員が一緒に経営し、社会に貢献することで成長する会社になりたいと考えています。

 

ステークホルダーの皆さまへ

 

一人ひとりの得意分野を広げ、全員経営で会社を成長軌道へ

 

 社長就任以来、私は経営者としてどのように会社に貢献できるか、私ならではの役割とは何か、と自問自答を続け てきました。今では、アルバイト時代から現場をしっかりと 見てきたことが自分の強みであり、現場の視点、お客さま の視点を踏まえた経営判断により会社を成長軌道に乗せ ていくことが私の使命だと考えています。

 また、常に私の根底には「自分一人では何もできない」 という想いがあります。自分だけではできないから部下に 権限を委譲し任せています。部下にできなければ、私にも できるはずがありません。

 何かを成し遂げるには仲間が必要で、従業員には仲間と しての経営参画を期待しています。誰にも得手不得手があ りますが、不得手は仲間が補ってくれます。一人ひとりの得 意分野を広げ、皆で成長していける会社にしていきたいと 考えています。

 ステークホルダーの皆さまには、今後ともご支援を賜り ますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

 

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2023年02月25日更新